イケメン大奥
あたしの腕をさする姿が気になったらしい。
毒見をしていたレイが、小姓に救急箱を持って来させた。
「上様、怪我の手当てをさせていただきます」
「手当は、上臈御年寄の役割じゃないんじゃないの?」
急いで手を引き抜こうとするのに、レイはあたしを放してくれない。
「こんなに腫れていらっしゃる……冷やして手当をしなければ」
あ・の・ね?
誰がこんなになるまでにしたの? あなたじゃないの?
レイはあたしの心情には全く感知せず、テーブルの氷を取って、腫れた部分を冷やし始める。
「レイ」
腹立たしさで全身が震えてくる。怒りで腫れた手もぶれる。
「この傷は、あなたが命じて出来たものなのよ? キヨの手当てもしてよ」