イケメン大奥
『そんなんじゃない、俺が未熟だから辛い体験させちまったな、て』
罰として縛られたこと? キヨの視線が、あたしの手に注がれる。腕に白い包帯を巻かれているのが、綺麗なドレスに着替えると余計に目立つみたい。
「包帯の色に合わせて、ドレスの色、考えてみたんですが……」
「いいの、大丈夫だから」
ランの言葉に、あたしは包帯をした手を後ろに隠した。
「行きましょう」
控えの間から出ると、お目見え以上の者たちがずらりと廊下に並んで平伏した。
そう、あたしは上様なんだ。言動は慎んで、無茶なことをしないようにしなくちゃ。決闘の間へキヨの案内で歩みを進めつつ、
上様として、ようやくだけど、心が引き締まる思いがした。