イケメン大奥
「見たいわ。ランたちがどんな風に衣装を作って保管しているか見たい」
ランは、ぱっと茶色い大きな瞳を輝かせた。足取りも軽やかに、呉服の間に自ら進んで案内をする。
「兄は結局のところ、見せたかったんですよ。自慢の衣装類ですから」
「そんなことないもん! あ、失礼……違います、材料をハルさまをはじめ、表使の方々がよく揃えてくださった結果をお見せしたいだけです」
青い絨毯の床を皆でゆっくり進みながら、
大奥での時間もゆったり過ぎていって欲しいな、とあたしは祈っていた。
楽しい事ほど直ぐに過ぎてしまうように感じるから。笑ったり泣けたり、きゅんと胸を締め付けられる、気持ちは大奥で出会った皆があってこそ。
皆ともっと話したいし、もっと喧嘩して理解し合いたい。
あたしはそう、強く思っていたんだ。