あたし



ユキちゃんに手を振って教室をでた。


普通、こういう時に

手を繋いだりするんだろうなって

思ったあたしの手は、宙に浮いたままだった。



「なぁ、ユメ?」

「なに〜?」



学校を出たくらいに

リョウヤが急に話し始めた。



「"ユキちゃん"やったっけ。さっきおった子」

「うん」

「あの子いっつもユメが俺んとこ来た後1人で帰るん??」

「う〜ん…分からない。なんで?」

「いや、な?お前が俺と帰ったらあの子1人になってまうやろ??」

「最初のころね、あたしもそう思って聞いたんだ。"一緒に帰る人いるの?"って」

「おぅ」

「でも教えてくれなかった」

「そうか」

「だから言いたくないのかなって思ってそれから聞いてない」



あたしのその言葉を聞いた後

リョウヤは何も言わずに

考えるような顔になった。



だから

リョウヤが何か言うのを

黙って待った。




そしたら

いきなりリョウヤが

閃いた顔をして



「…じゃあ、暗くなる季節んなったら3人で帰らんか?」



と言った。


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