あたし
いきなり入っていくのは少し
気が引けたから
とりあえず教室の中を覗いてみると
「せやねん!んでな、」
という楽しそうなリョウヤの関西弁が
聞こえてきた。
声は聞こえたものの
その姿が視界に入ってなかったので
声の発生源を視界に捉えようと
教室内を見回してみた。
すると一番廊下側の列の
真ん中辺りの席に
みんなに囲まれたリョウヤの姿が見えた。
あたしの後ろにいたユキちゃんが
「リョウヤくんいた?」
と聞いたので
「うん、いたよ」
と答えて顔をユキちゃんの方に向けると
意外にも近くに顔があった。
「うわっ」
「…うわって失礼な。」
「いや、思ったより近くて!!…ごめん」
「別にいいけどさっ」
ユキちゃんはわざとらしく
すねた顔をした後
「リョウヤくん何してた?」
と聞いた。
見たままを伝えると
「話しかけたら?」
なんて正にあたしが悩んでいた事を
サラッといとも簡単そうに言った。
「え…」
「そのために来たんでしょ?」
「そ…だけど…」
「何で自分の彼氏にドキドキしてんのさ」
「だって…」