L×L
旅館に戻ったのはそれから30分後のこと。

そのあいだ、矢澤くんと何を話したかなんて覚えてない。



「結衣!!傘持ってなかったの?」


「あはは!!ねね、お風呂使っても大丈夫かな?」


「たぶん。個室のお風呂だったら…。先生に許可とっとくよ」


「ありがとっ」



あー。そういえば、香那。高瀬くんと楽しめたのかな?

あとでちゃんと聞いてあげなきゃ…。

2人で何してたのかなー。抹茶アイス食べたのかな?

抹茶…アイス…。



「…最…悪」



違う。矢澤くんが悪いんじゃない。

信じたあたしがバカ。冗談に決まってんじゃん。

あんなモテ男と釣り合わないこと分かってたじゃん。



「大丈夫…まだ」



好きじゃなくなったんでしょ?

戻れるんでしょ?

本気じゃないんでしょ?



「…。ははは。…はは」



あの時、信じてればアイツは嘘を本当にしてくれたのかな?

それとも結果は同じだったのかな?



「バカだなぁ。あたし」



戻れるわけないじゃん。

本気だったんだよ。

大好きだったんだよ。

ううん…。



「大好きなの…」



完全に届かなくなって初めて気づくものもあるんだね…。

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