ハーレム ブラッド
「とにかく、2人とも行くぞ。」


「無関係なはずの私を助けるなんてくだらないことしてくれたんだもの…あなたも。


簡単には許さないわよ?」

「どうしたら許してもらえるんだ?」


「そうね…

まずは、あなたの血でももらおうかしら?」


「…ふぅ。

まぁ、人目もないし、良いか。」


「どうせだし、そこのビルでも入る?」

姫野が言う。

「遠慮しとく。」

「そう?

じゃあ…ここで…」

「ったく…

俺も甘いな…」

幸大が学ランのボタンを外して首筋を出す。


「そう言えば…

ナイフの傷は大丈夫だったの?」


「お前に渡したハンカチと同じ仕組みだ。


学ランの布に血液を染み込ませて鉄の固さにした。

だからナイフは刺さってもいなかった。


ハンカチのは血の粘度を高めてより多くの血がハンカチに付着するようにしたんだよ。」

幸大が言う。


「やっぱり、あのハンカチは幸大の差し金だったのね。

ま、知ってたから…ずっと持ち歩いてたんだけど。」


「え?」


かぷっ。

幸大が聞き返す瞬間に噛みついた。

ちうちう…

ぽたっ…

幸大の首筋に水滴が落ちた。


「榊…お前…」


ちうちう…

榊は血を無言で吸い続ける。


ゆっくりと…

しっかりと…

血を吸う。


「はぁ…

欲望に素直に…か。」


ぎゅっ。


幸大は姫野を優しく抱き締めた。
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