ハーレム ブラッド
「ふぅっ。」

姫野が血を吸い終わる。


幸大も抱き締めた手を離した。

「こんなものじゃ許さないわよ?

でも、今日はこれで勘弁してあげるわ。」

姫野が翼を出して飛び去った。


「いや…見られたらどうすんだよ。」

幸大が言う。

「まぁ…暗くなってきてますから平気だとは思いますよ。」

咲子が言う。

「結局、姫野さんと幸大君の関係は戻ったのかなぁ?」

クーニャが言う。

「それは無いでしょう。


きっちりとしたケジメもなく、

うやむやなまま元の間柄に戻ろうなどと考えているなら…私は彼女を仕留めます。

冗談抜きで…」

咲子が言う。


「榊なら大丈夫だろ…


あいつはケジメとか貸し借りを気にする奴だからな。」


「さて…早く家に帰りましょう。


幸大さんから血を吸わないといけません。」

咲子が言う。

「何でだよ!?」

「私も咲子ちゃんも幸大君に付き合ってここまで来たし、幸大君がナイフで襲われた時も敵を倒したのは私たちだよ?」

「幸大さん…借りを返すのは当然ですよね?」


「はいはい…

ほら、帰るぞ。


っと…アレも回収しないとな。」

ギュルルルル…


ビルの窓に張り付いていた血液が幸大の手のひらへと渦を巻きながら回収された。


「いっそ…これ飲むか?」


「わかってないなぁ〜。

幸大君と密着して直接吸うから…気持ちいいんだよ?」


「俺は気持ちよくない。」

「でも密着して嬉しいと思ってますよね?」

「うるせー。

帰るぞ。」
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