ハーレム ブラッド
「人間じゃなくて化け物じゃんか。」

マリアが言う。


毛布もマリアの発言に縦に動く。



「…化け物か。


それは人間が吸血鬼を見て化け物と思うのと違わないだろ?」


「うっ…」

マリアが言う。

「マリア…

お前は吸血鬼を見て化け物と言う人間に迫害された時はどう思った?」


「…。」

マリアが黙る。


「自分のことを棚にあげて今、俺を化け物と呼んでどうだ?」


「…。」

「吸血鬼からも迫害か虐待か知らんがやられたんだって?


人間同士でも虐めや子供を虐待するなんてのは珍しくないよな、毛布?」


毛布が縦に動く。


「だが…

吸血鬼と結婚する人間だって珍しくないよな?

じっさい、一緒にいた榊って人も人間の奥さんがいる。


しかも子供を溺愛してる。


貧血で倒れただけで文字通り飛んでくるくらいに親バカだ。」


「…。」


「お前は人間とか吸血鬼とか無関係に…

ただ周囲から傷つけられて…

だから、周囲に居る者、近づく者に傷つけられないようにしている…


違うか?」


「…。」

「もし、お前が俺を信じるなら俺もお前を信じて拘束具を全て外す。」


「…。」

「いや、俺だけを信じるんじゃダメだな…


俺と、この毛布の奴を信じるなら…

外してやる…」


「…。

私は…外されたらお前を殺すかも知れないぞ?」

「だから言ってるだろ…

お前を信じる…と。

だからお前も俺や毛布のこいつがお前を傷つけないと信じてくれ。」


「…。

私は…」
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