ハーレム ブラッド
「名前は教えてくれないのか?」


毛布が縦に動く。

「お前は私が嫌いなのか?」

マリアが言う。


「…。」


少しして毛布が左右によじれる。


「俺のことは好きか?」

縦に動く。

「じゃあ…何が怖いんだ?」

幸大が言うと毛布は何が言いたいかわからないがもぞもぞと動く。


「吸血鬼の牙か?」

左右によじれる。

「じゃあ爪?」

マリアが言う。


左右によじれる。


「翼とか?」

マリアが言う。

左右によじれる。


「じゃあ…眼か?」

幸大が言うと毛布は縦に動く。


「何色のことだ?」

マリアが言う。


「…。

まさか…青色か?」

幸大が言うと毛布は縦に動く。


「蒼月の眼…か…

なら私は違う…


ほら、見ろよ。」


ギンッ!

鮮血の眼が毛布を見つめた。


「な?」

「バカ…それはそれで怖いだろ。」


「あ…そっか…」

マリアの眼が戻る。


「私もさ…

蒼月の…青色の眼の吸血鬼にやられたんだよ…」


毛布が動く。


「私の一族は全員青色の眼であることに誇りを持ってたんだ。


だから…鮮血の…赤色の眼を持つ私は一族ではないって…


親どころかジジイやババア…弟や妹からも殺されかけた。


いや…人間だったら確実に100回は死んだんじゃないかな…」
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