ハーレム ブラッド

「マリア…」

幸大が言う。


「私はさ…人間からも吸血鬼からも優しさとか愛情をもらったこともないから…


蒼月の眼になるためには冷酷であれ、って家訓でさ…


誕生日には野良犬や野良猫を殺すって言う最悪な儀式があったんだ。


昔は人間を誕生日には殺したんだ、とか言われながら…


でも、私は一度も殺せなかった。


だから一族は皆私を虐めた…


それでも、成人したら蒼月の眼になるかも知れないって…



でも、私の眼は赤色だった…


一族は私を殺そうとした…


私は必死で抵抗したら…捨てられた。


家から追い出されて…

野良犬や野良猫みたいに…」


ぎゅっ。


「え？」

幸大はマリアを後ろから抱き締めた。


「な!?


何すんだよ!?」


「べつに…


ただ…何となくだ…」


「離せ、変態！」


「嫌だ。」

「殺すぞ!!」

「じゃあ殺される前に抱き心地を体に覚えさせてから死にたいな〜。」


ぎゅぅぅっ。

「な、バカ！

そんなに強く抱きつくな…」


パッ…


幸大が手を離す。

「あ…」

マリアが小さく言う。


「何だ？

離してほしくなかったか？」


「うっさい！」

マリアが振り向いた瞬間。


ぎゅっ。

次は正面からマリアを抱き締める。