ハーレム ブラッド
その夜



幸大の家


部屋には正座をする幸大とそれを上から見下ろす咲子の姿があった。


「何か言い残すことはありますか?」

咲子の青い眼が幸大に告げる。


「だから…その…

あくまでもその二人の治療の一環としてだな…」


幸大が言う。

「治療という名目で女を連れ込もうと?」

「違うって!

これは俗に言うルームシェアみたいな…」


「俗に言う…浮気と判断します。」


「判断するな!!

なんとか…穏便に…」


「幸大さんは私たちでは物足りずに他の女性に手を出すとは…」


「だから違うって!」


「あまり大きくないこの部屋では二人も増やせば狭いです。」

「それは…その…」

「預かるのは夏休み期間中ですよね?」

「まぁ…今のところは…」

「ということは、姫野さんもクーニャさんも遊びに来ますよ?」


「うっ…」

「さらには生活費もかさみます。」


「そこら辺はVAPが資金援助をしてくれる。」


「そして、何よりも…


そんなに人数が増えたら…幸大さんと遊ぶ時間が…なくなります。」


咲子が寂しそうに青い眼を潤ませた。


「咲子…

ごめん。」


「なら…断ってください。」

「いや…その…」

「幸大さん…」

「はい?」

「言い残すことはありますか?」


「さ、咲子…爪が鋭くなってるから!

危ないから!」
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