ハーレム ブラッド

「…。」

「…。」

「…。」



沈黙が支配する空間と言わんばかりの静けさ。

「あの…」
「あの…」


沙羅と桂木が同時に言い出す。


「あ…沙羅ちゃん、先にどうぞ？」

桂木が言う。

「いえ、私は特に言いたいことがあったわけじゃ…」

沙羅が言う。

「沙羅、遠慮しすぎだろ…」

幸大が言う。


「あの…じゃあ…


私と幸大さん以外は吸血鬼なんですよね？」

「ああ。」

「皆さんは幸大さんから血を？」


「ああ、そうだ。」


「…。」


沙羅が黙る。


「あの…私からもいいかな？」

桂木が言う。

「どうぞ？」


「マリアちゃんも岡田君から血を？


あ…ほら、私みたいな献血の用意をしてるようには見えなくて…」

桂木が言う。


「まぁ…特に何も言われてないんで…多分俺から吸うと思います。」


「そう…」


少し落ち込む桂木。



「あの…失礼かもしれませんけど…」

沙羅が言う。


「ん？」

「血を吸うところを見せてくれませんか！」

沙羅が顔を赤くしながら言う。


「ふぇっ!?」

桂木が驚く。

「あの…他の吸血鬼の皆さんに頼むと意地悪されそうで…

でも桂木さんなら優しそうだし…その、マリアちゃんとかが血を吸ってるのをいきなり見たら…嫌いになっちゃうかも知れないから予行演習がしたいんです…」


沙羅がもじもじしながら言う。