ハーレム ブラッド
ふらっ…

「沙羅!」

ガシッ!


ふらついた沙羅をマリアが支えた。


「貧血ね…」

姫野が言う。

「翡翠の眼の吸血鬼なら貧血を起こしても少し休めば治るから、座ったら?」


桂木に促されて沙羅が座る。


「ん?

幸大君が何か握ってるよ?」

クーニャが言う。

「おや…

幸大さんが作った鍵…みたいですね。」

咲子が幸大の手を開き取り出す。


「この鎖の鍵ね。」

姫野がマリアの両親が繋がれている鎖についている鍵を指差す。

「これ、一人一人の鎖に鍵がついてるけど全部一緒かにゃ?」


クーニャが言う。


「まぁ…幸大さんが作ったのならそうだと思います。」

咲子が言う。

「マリアさん…どうぞ。」

咲子がマリアに鍵を渡す。


「…。」

マリアは鍵を見つめて握りしめる。


「私はこいつら全員を…見逃そうと思う。」

マリアが言う。

「理由、聞いても良いかしら?」

姫野が言う。

「私は確かにこいつらが嫌いだ。



でも…こいつらが居たから私は幸大にも沙羅にもお前たちにも会えた。

私は…優しさを知ってしまったんだ。

お前らのせいだぞ!」


「その責任は全て幸大さんが負いますから。」

咲子が言う。
< 230 / 500 >

この作品をシェア

pagetop