ハーレム ブラッド
「あの…そもそも、余裕が生まれるとあんなに変わるものなんですか?

幸大さんに余裕が生まれた理由もわからなくて…」


沙羅が言う。


「それは、そうですね…

例えるなら、このコップが人の心です。」


咲子がコップを三つ用意する。

同時に水と炭酸のジュースも持ってきた。


「このコップには水が入ります。」

ギリギリまで水を入れる。


「これが精神的にいっぱいいっぱいの状態です。


例えば…目の前で衝撃的なモノをみた時、動けなくなりますよね?

それは…」

さらに水を入れるとコップから溢れた。


「つまり、許容力がもうなくなり何もできなくなった状態です。


ですが…人間は多少のことには対応できます。

なぜなら…」

炭酸のジュースをコップに注ぐ。


泡がコップギリギリで止まる。

「これが私たちの日常的な心。」


次第に泡が消えた。


「先ほどの泡がギリギリまで来てた時は目の前で衝撃的な何かが起きてなんとか対応できた時の心。


そして、泡が消えた状態が私たちの普段です。

私たちは常に何か起きた時のために心に80%しかジュースを入れない。

そうすれば何か起きた時の対応がとれるから。


もちろん、これは無意識にです。」
< 289 / 500 >

この作品をシェア

pagetop