ハーレム ブラッド
駅前


ザワザワ…

「ん?

何やら騒がしいな…」

幸大が言う。

「幸大さん…あれ…」

咲子がデパートを指差す。


そこには赤い炎と黒い煙。

「火事!?」

その瞬間。


ドゴォンッ!


爆発。


「まだ中に人が!!」

「誰か!!

まだ中に!」

「消防車は!?」



爆発を皮切りに一斉に取り乱す。


「幸大さん…

中に人が居ます。


助けに行きましょう。」

「は?

…。」

咲子の目は真剣そのものだった。

「どうやって?」

「幸大さんは私に血をくれるだけで良いですよ。」

「え?

あ…、そうか…」

「はい。

私は吸血鬼ですから。


空も飛べますし、火傷だってすぐに直りますから。」


「…。

ここじゃ、あれだから。

こっちに来い。」


幸大が狭い路地に行く。


「ほら。

頸動脈からガブリといってくれ。」


「そう言えば前にも…な感じですが、動脈からいっても大丈夫って本当なんですか?」


「ああ。

だから好きなだけ吸え。

時間が惜しい。」


「では…」


カプッ…

「痛みに慣れてきたな…」


ちるるるるる…

「今までにない勢いで吸われてる…」
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