ハーレム ブラッド
「幸大のバカ…」

姫野が涙を流した。


『何を泣いておる?

そなたたちは余の覚醒を喜ばぬと?』

「当たり前だ!!

幸大の体を勝手に使いやがって!」

マリアが言う。


「王よ…すみません。

彼の者たちは退場させますので…」


『いや、良い。』

「しかし…」

『アノ者たちをここへ連れてこい。』

「なぜ…

女性ならばもっと良い者を揃えておりますが…」

『余は礼節を知る。

この体の持ち主…

幸大が愛した者たちにせめてもの礼だ。』


「わかりました…」



手は手錠がされたが他の拘束を外された姫野たちはヴァンの元へと連れていかれた。



『ふむ…

顔立ちは悪くない。

少々幼く色気に欠けるがな…』


「何だと!?」

マリアが言う。

ザッ…

周りの男たちが身構えた。


『止めよ…

そなたたちは宴を楽しめ。

余はこの者たちとの会話を楽しむ。


それに、余はこの者たちに殺されるわけがない。

力もそうだが…そなたたちはこの体を傷つけたくはないのだろう?

いくら回復する吸血鬼になったとは言え。』


「そうよ。

幸大も私たちにそう言ってくれたわ。」

『その記憶は余も共有しておる。』
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