ハーレム ブラッド
「…。

まぁ…、佐藤の奴は気に食わないが…」

幸大が女子のもとへ歩き出した。


「幸大…あんまり佐藤に関わると面倒だぞ?」

行正が言う。




「おい…」

幸大が言う。

「…。」

女子は幸大を見るだけで発言をしない。

「寒くないのか?」

幸大が言う。

女子はすでに頬も鼻も赤い。

手袋をした手も擦り合わせている。


「マフラーの処分に困ってたんだ。

くじ引きで当たったんだが、マフラーはすでに予約がありそうだから…もらってはくれないか?」

幸大が言う。

「…。」

女子は首を横に振る。



「ったく…

本当はあいつら意外にこういうのをやったってバレたら怒られるんだが…この場合は良いよな?」

幸大は自分を正当化する独り言を呟いた。

そして…



フワッ…

女子の首にマフラーを巻く。

「…!?」

女子が驚く。

「寒そうにしてるんだから黙ってもらっておけ。


サンタからのプレゼントほど良いものではないけどな。


それから、使い捨てカイロもやるよ。

まだしばらくは暖かいハズだ。」

「…。」

女子は受け取ろうとしない。

「好きな男を待つのは良いが、それで風邪を引いたらその男が悲しむだろ?


好きな奴を大切に思うなら、自分も大事にしろ。

良いな?」

幸大は女子に無理矢理カイロを握らせて頭を数回撫でる。


「…。」

女子が抵抗もせずに幸大を見つめる。

「じゃあな。

俺もこれからデートだから。」

幸大が女子から離れた。

「幸大があんなキザなセリフを言うなんてな。

じゃ、俺は帰るから。

デート頑張れよ!」

行正が帰宅し、幸大は待ち合わせの場所へ向かった。
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