十字架に鎖を



『琉も、いつかは私の血…吸うの?』


あのときの珠妃の不安げな顔が浮かんでは消える。


「珠妃…。」


珠妃の匂いがまだ少し残っているのを感じて、そっと目を閉じた。


つまりこの日、僕は珠妃と僕が男と女であることと同時に、


珠妃を少なからず“餌”として見始めていた。



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