シンクロニシティー


「僕自身も、コトを好きにならないように」


 シュウの視線は痛みを感じるほど熱く、私に注がれている。

 その言葉はとても重大な意味を含んでいるらしいけど、今現在の思考ではそれを導き出すことができなくて。


「わかんない。シュウ、何言ってんの? 全然わかんないよ」

 不規則に跳ねる呼吸の合間に、無我夢中で訴えた。


 シュウは、私の顔を両手で挟んだまま、額と額をそっとくっつけた。
 何となく目を閉じたら、また目の奥にたっぷり溜まってしまったものが、勢い良く一気に流れ出た。



「琴子。上から読んでも『コトコ』下から読んでも『コトコ』。変な名前」

 一つ一つ丁寧にシュウが口にした言葉。

 それはまるで魔法か何かのように、私の頭の片隅に眠っていた、微かな記憶を呼び起こした。


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