シンクロニシティー


 ああ、思い出した。
 曖昧だけど、何となくだけど。


 あの頃の私はお父さんのことが大好きだった。
 今思えば不思議で仕方がないけど。


 それで、お父さんが連れていってくれた居酒屋で『シュウちゃん』と出会った。

 意地悪だけど時々優しい『シュウちゃん』に会いたくて、何度も何度も『また連れてって』とせがんだのを覚えている――というか、思い出した。

 どうして忘れてしまっていたのだろう。



 でも、だからって……

「どうして? どうして私がシュウを好きになっちゃ駄目なの? シュウも私を好きになっちゃ駄目なの? どうして?」

 私とシュウの過去が繋がった、たったそれだけのことじゃない。


 別に、好きになったっていいじゃない。


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