シンクロニシティー


「学校へ行かないのなら、退学しなさい。
 高い学費を払う意味がない」

 はぁ?

 空気のような存在の男を、久々にマジマジと見た。
 けれど、私を振り返ろうともせず、静かに食事を続けている。


 この人の背中、こんなに大きかったっけ。


 その背中の向こう側、父と向き合って座っている母は、「あなた……」とこぼし、困惑した表情を浮かべた。


「偉そうに。何言ってんの?
 学費払うのなんか、親の義務じゃん」

 ついムキになって、大声を張り上げた。


「中途半端なことをやっているやつに、義務だのなんだのと主張する権利などない」

 キッパリと――
 明瞭に発せられた言葉。


 うっとうしい。
 どうして、いつものように存在を消していてくれないんだ。


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