シンクロニシティー
呼吸が止まった。心拍まで止まった気がした。


黒くて小さな虫。無数のそれが私の足首に纏わりついていて、肌色が覗く隙間もないほどだった。


何コレ? 気持ち悪い、何コレ?


息が出来ないからもちろん声も出ない。

ガタガタと扉を鳴らして、浴室の外へと転がるようにして飛び出した。



どさっと。身体が洗面所の床に落ちる。肩を強く打ったみたいだけど、痛くない。痛みなんか……それよりも……。


足首の黒はモゾモゾ蠢きながら、やがて膝下まで広がった。


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