シンクロニシティー
何ソレ? 意味がわからない。



シュウは何も答えなかった。けれど、微かに震える身体をゆっくりと起こし、酷く難儀そうに立ち上がる。


そして、空間を漂うようにフラリフラリとこちらに向かって歩いて来た。



「シュウ……無理しないで」

思わず口を衝いて出た言葉に、

「自分より兄ちゃんの心配か? 泣けるねー」

神崎が失笑する。



シュウは時間をたっぷりかけてようやく、私たちのすぐ傍に立った。


今にも崩れ落ちてしまいそうなほどの不安定さ。そんな身体で一体、何をしにここまでやって来たのか……。



シュウはおもむろに、刃物を握っている神崎の右腕を両手で掴んだ。咄嗟に神崎は抵抗し、二人は揉み合いになる。



そして――――


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