シンクロニシティー




何が起こったのか、

さっぱりわからなかった。




時が止まったかのように静止した二人。

神崎の持つ包丁の刃が、深く深く、シュウの脇腹に突き刺さっていて。



神崎は弾かれたように後方へ飛び退き、

「お……お前……何考えてんだよ?」

茫然として呟くと、よろよろと力なく後ずさった。



ドスッと。前屈みになって両膝を落としたシュウ。でも顔だけはしっかり持ち上げたまま、神崎を真っ直ぐ見据えていた。


「これで……あんたは人殺し……だ。もう、コトに……近付け……な……い」

言ってシュウは、満足そうに微笑んで見せた。



断末魔の叫びのような悲鳴が部屋中に響いた。

それは、私の頭の天辺から抜け出たみたいだった。空気を激しく震わすほどの大音響。


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