シンクロニシティー
「違う、俺はやってねぇ。お前が勝手に……」

震える声で弱々しく否定して、神崎はじりじりと後方へ移動する。そして、壁にトンと背中をぶつけると、反射的にクルリと身を翻し、もの凄い速さでリビングを出て行った。



立膝のシュウが包丁の柄を両手で掴み、それを勢い良く引っこ抜いた。



「ダメッ!」

狂ったように叫んで、大慌てで駆け寄った。



グラリ、シュウの身体が前方へ傾く。それを受け止めようと、シュウの目の前に私も膝を落とした。


何とか抱き止めたけど、それは予想以上の重圧で、踏ん張り切れずに私まで押し倒されそうになった。


でもシュウ自ら重心を逸らして、シュウの身体は私のすぐ横にドサリと落ちた。



「シュウ、ダメだよ。抜いたら……ダメだよ」


シャツに滲んだ真っ赤な染みがみるみる広がってゆく。その脇腹を、泣きながら無我夢中で押さえ付けた。


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