シンクロニシティー
「何だ、そっか。良かったな」

「うん。レイジにまで心配かけちゃったんだね、ごめん」

「お前、変に素直じゃん。気持ち悪ぃ」

「何で『気持ち悪ぃ』? ムカつく」


電話の向こう側のレイジとこちらの私。

二つの笑い声が一瞬だけ混ざり合って、けれどすぐ、呆気なく消えた。




シュウの身体にいくつも繋がっている管を、一つ一つ外した。胸に刺さっている点滴の針も、看護師じゃなくても抜き刺しできるような処置がされているから、問題ない。


オシッコの管は、本当は私がやったら駄目。けれど、無理矢理抜いてしまった。ちょっとだけ出血して、かなり焦った。もしかしたら、痛かったかも……。

ごめんね、シュウ。




レイジがルミコの車で迎えに来てくれて、部屋からシュウを運び出すのを手伝ってくれた。


移動中、レイジは一言もしゃべらず、ずっと前を向いたままだった。バックミラー越しに盗み見たレイジは、思い詰めているような酷く深刻な顔をしていた。


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