シンクロニシティー
9月に入ったばかりだけど、海辺の夜風は冷たくて。車から降り立った私は、自分の身体を庇うように抱き締めた。
毛布にくるまれたシュウを、レイジが車から降ろしてくれた。
レイジは小柄だけど、そういうのを軽々とやってのける姿を見て、やっぱり男なんだなぁって何故だか妙に感心したりして。
二人でシュウの両脇を支えながら、桟橋の先端まで移動した。シュウを座らせ、その隣に私も腰を下ろした。
両腕を回してシュウの上半身を抱き寄せた。そうしないと、崩れ落ちてしまうから。
「レイジ、もういいよ、行って」
背後に突っ立ったままのレイジを振り返って見上げた。
「お前だけで大丈夫か?」
「私だけじゃないよ。シュウも居るから」
すかさず屁理屈みたいな言葉を返せば、レイジはふうと小さく息を吐き、困ったように笑う。
「そっか。じゃあ……気が済んだら電話しろよ?」
「うん、そん時はまたお願い」
「ん、じゃ、俺行くわ」
レイジは私に向かって軽く右手を上げ、二、三歩後ずさると、クルリ、踵を返して背を向けた。
バイバイ、レイジ。
ルミコと幸せになってね。