シンクロニシティー
「学校来ないから、気になって。なんか色々あったみたいだし」

そう言えば、神崎が逮捕されて、その後、学校の方はどうなっているんだろう。


「学校は……どう?」

「うーん。大変、かなぁ……。テレビ局とか一杯押し寄せて、警察も来たりとかさ」

「そっか、そうだよね」

「うん」


そこで会話は途切れた。



しばらくの沈黙の後、雪枝さんが再び言葉を発した。


「戻って来るんでしょ?」

「え?」

「あなたには、まだまだ言いたいことが沢山あるの。逃げるなんて許さないから」

その言葉に相反して、とても穏やかな優しい口調だった。



「うん。今はまだ無理だけど、そのうち絶対戻るから。そしたらまた、叱ってよ」

冗談めかしてそう言って笑った。平然と嘘が吐ける自分に、ほんの少し驚いた。でも雪枝さんを騙しているとか、そういう感覚はなくて。


ただの日常会話、近況報告、そんな感じ。


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