シンクロニシティー


 もしかしたらこれは、
 夢かもしれない。

 今のこの状況が、あまりにも非現実的で、幻想的で。
 何をしても許されるような、そんな気持ちにすらなる。


 無意識的に、彼の頬を左手で包んだ。
 艶々した白い肌はとても魅力的だった。

 ただ、触れてみたかった。


「あなたは、私の王子様?」

 ただ、聞いてみたかった。

 バカじゃないの? って笑い飛ばされても良かった。
 もしかしたら、笑い飛ばして欲しかったのかもしれない。


 けれども彼は、私のその手首をそっと掴むと、

「そうですよ、お姫様」

 そう言って、顔をほんの少しだけ横向けて私の手の平に彼の口元を埋めた。


 チュッ――
 私の手の中で小さな音が鳴る。

 リップ音って、こんなに可愛らしくて愛しい音だったっけ。


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