シンクロニシティー


「三日でいい。
 三日だけ、君の時間を僕にください」

 縋るような彼の瞳に、何故だか胸が締め付けられる。


「どうして……」

 それ以上言葉が繋げられなかった。

 わからない、わからない。
 全然わからない。


「わからない」

 彼がポツリと呟いた。

 私の頭の中を覗かれたのかと思って、ビクンと心臓が跳ね上がった。

 けれども彼は、長い睫を落として目を伏せると、

「わからないけど、
 君と一緒にいたい」

 言いながら再び視線を上げて、私を真っ直ぐ見詰めた。


 私はここに居てはいけない気がする。
 けれど、彼を悲しませてもいけないような。

 そして何より、私自身が、彼と一緒に居たいと、そんな儚い夢のような願望を持ってしまった。


「三日……だけなら」

 唇が勝手に動き、喉も勝手に鳴った。
 言い訳ではない、本当だ。

 常にふて腐れていて捻くれ者の私が、彼の前では何故かお利口さんのイエスマンで。


 そして――

 いつの間にか私は、
 彼の胸に抱かれていた。


< 35 / 296 >

この作品をシェア

pagetop