シンクロニシティー
「ねぇ」
二歩……いや三歩かな、とにかく歩き出してすぐに呼び止められた。
足を止めてソロリと振り返れば、
「名前、教えて?」
満面の笑みを浮かべて彼が問う。
本当に――
彼の笑顔は煌びやかだ。
眩しくて思わず目を細めた。
「コト」
そう答えると、彼はフッと声にならない笑いをこぼした。
片言しか喋らない私が可笑しいのかもしれないな、と思いながらポケッと彼を見ていた。
「シュウ」
言って彼はまたキラキラと笑った。
名前を聞けたことで満足した私は、再び彼に背を向け歩きだした。
『シュウ』っていうんだ、へぇ~、なんて。
そんなことを考えるだけで口元が緩む。
「コト」
今度は名前で呼び止められた。
また立ち止まって振り返る。
シュウには逆らえないから。
服従とは少し違う。
良くわからないけれど、シュウの言葉は私の中で絶対だった。