シンクロニシティー


「一緒に……入ろっか」

 そう言ってシュウは、悪戯っぽい笑みを見せた。


「え?」

 たちまち顔が燃えているのかと思うほど熱くなり、頭の中が白んでいく。
 そして、視界の縁がぼやけた。


 ゆっくりとシュウが近づいてきて、霞む視界が彼の上半身で埋め尽くされた。


 どういうつもりなのだろう。


 シュウの表情を読み取ろうと、瞬きを何度もして正常な視界を取り戻そうとした。


「ねぇ、一緒に入ろ?」

 私の腰にふんわりと彼の両手が触れて。
 けれど次の瞬間、グイと力強く引き寄せられた。

 見上げなければ顔が見えなくて、恐る恐る視線を上げた。


「嫌?」

 シュウはその美しい顔を不安色に染めて、なおも聞いてくる。
 その微かに苦悩を滲ませた表情は妖しいほどの色気を放ち、私の中の『女』を容赦なく揺さぶった。

 ブラウンの瞳の中の私が、何かに怯える小動物のように見えた。


 ああ、そうか。

 彼にとって私は、異性ではあっても性の対象ではないのだった。


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