シンクロニシティー
「家、出て来たんだ」
全てが終わって、脱ぎ散らかした衣服を順に身に着けながら、ポツリと独り言のようにこぼした。
「へぇ」
どうでもよさそうな相槌を背中で聞いた。
ブラジャーのホックが巧く嵌まったので振り返れば、レイジは未だ全裸のまま、ベッド端に腰掛け、紫煙をくゆらせていた。
視線がぶつかったことに慌て、レイジはその整った顔に、取り繕うように笑顔を浮かべた。
「ここに置いてくれない?」
それが不可能なことだと承知の上で、あえて言ってみる。
ここはあの女の部屋で、レイジは居候だから。