シンクロニシティー


 付けっ放しのテレビでは、お笑いタレントが騒々しく機関銃トークを繰り広げている。

 こういうバラエティー番組とかも観るんだ。
 なんだか意外、とか思ったり。


 そっと近づき、斜め後ろからシュウの顔を覗き込んだ。


 途端、胸の真ん中をピシュンと何かが突っ切ったような感覚。

 心臓が止まるかと思った。


 閉じられた目が綺麗な半円を描き、緩く閉じられた口からは、スゥ、スゥ、っと空気が漏れる可愛らしい音。

 その美しい寝顔に思わず見入ってしまった。


 どうしよう。
 起こして良いのかな。

 ほんの少しの間、為すすべなく立ち尽くしていた。


 でも……
 いつまでもこんな果てしなく裸に近い格好もしていられないし。

 シュウは雨で湿った服を着たままだ。
 風邪をひいてしまう。


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