シンクロニシティー


「悪い、無理だわ。
 わかってんだろ?」

 苦笑しながら言い、灰皿にタバコをねじ込んだ。


 私は、レイジの困った顔が好きだ。

 だから、叶うはずのない我儘をわざと言ってみたりする。


 レイジは重い腰を持ち上げ、床に足を崩して座っている下着姿の私の目の前に、ふわりとしゃがみ込んだ。

「なぁ、コト。
 家(ウチ)に帰れよ。
 お前には心配してくれる両親がいる。
 学校も行かなきゃだろ?
 ほら、その……
 高校ぐらいは卒業しとかねぇと、な?」

 レイジが切なげに私を見詰めて言った。
 不必要なほど甘く、優しく。


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