シンクロニシティー

　『下手クソ』なキスが『良かった』って、何なの？　意味がわからない。

　そして、何の気なしにそうやって私に触れるのやめて欲しい、ドキドキするから。
　嬉しいけど、ドキドキし過ぎて息苦しいんだよ、気付いてください、もういい加減。



「ファーストキスだから」

　わざとらしくプウと膨れて言い返せば、シュウは「えっ？」と、音にならない空気みたいな声を漏らして目を見張った。


「そんなに驚かなくても」

　言った後、とんでもなく照れ臭くなって、へへっと気持ち悪い笑いが口から漏れ出た。

　格好悪い。
　死ぬほど恥ずかしくて気持ちが沈む。


「処女には見えないけど……」

　どこでどう判断しているのか。
　シュウは遠慮がちに、けれど確信している風な口調で言った。