シンクロニシティー


 マンションのエントランスを抜け、通りのアスファルトへ一歩踏み出せば、

 ポツッ、
 頭の天辺に何かが落ちた。

 見上げれば、それを待っていたかのように、沢山の滴が放射線状に降り注ぎ始める。


 たちまち全身がぐっしょり濡れて、体温を奪われる。

 ゾクリと寒気すらした。
 真夏だというのに。


 肌寒い。
 凍えてしまいそうだ。

 目の奥が熱くなる。

 顔にかかる雨が酷く不快で、それを避けるように俯いて歩き始めた。

 傘は、持っていなかった。




 私は何歳(イクツ)になったら、
 この孤独に馴染めるだろうか。




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