シンクロニシティー


 私の口から嗚咽が漏れた。
 一生懸命我慢しようとしたけれど、堪えきれなかった。



「かえっ……帰りたくっ……ないっ……よー」

 一度溢れ出したものは、もうどうすることもできない。

 子どもみたいに泣きじゃくって、「帰りたくない」と、何度も何度も繰り返した。



「うん、僕も。僕だってコトを帰したくない」

 そんな見え透いた嘘、気休めにもならないのに。

 だけども、それがシュウの誠かも知れない、と。
 微かな可能性を信じたいと思う私は、あまりに楽観的だろうか。


< 83 / 296 >

この作品をシェア

pagetop