とある愛世Ⅰ
だけど昔から、この関係を始めたときから、そんなことはわかっていたじゃない。
そう思って自嘲する。

彼自身も言っていたっけ。
彼にとって、1番は本命の彼女だけであるのだと。

それなのにこんなカンケイに縋り続けるわたしは馬鹿だ。


「……そんなにちゅーしたいの?」

「うん。」

「何で?」

「好きだから。」


でも。だから、それならせめて。
一緒にいるときくらい、わたしに寂しさも、虚しさも感じさせないで。

いつか捨てられるという不安に、怯えさせないで。

今だけは不安を消し去れるように、カタチだけでもいいからキスをして。
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