とある愛世Ⅰ
「……ごめんね。」


彼のそのひとことに、どんな意味があるのかなんて、そんなのはわかってる。

1番にできなくてごめんね…
こんな関係続けてごめんね……
つらい想いばかりさせてごめんね――…

けれど、そう呟いてキスを落としてくれるから、


「本当に、だいすき、なんだよ。」

「うん、ありがとう。」


わたしはまた、一方通行な愛を囁く。
それがどんなにみじめであるかなんて、わかっていたけれど。

彼は、わたしの気持ちを知っている。
わたしが彼から離れられないことも、知っている。

知っているからこそ、ずるい。
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