君を忘れない。
知らない顔ばかりが、私の周りを取り囲む。
「いや、私は…」
「それは俺の妹。」
?!
お兄ちゃん…?!
私は声のする方を見上げた。
戦争に行ってしまったはずで、いるわけなんてないのに。
冷静に聞けば、違いなどすぐにわかるはずなのに。
「……あ。」
目線の先に、やはり兄とはかけ離れた人。
「一平(いっぺい)の妹?!」
「妹いたんだ?!」
「雨竜(うりゅう)くん妹いたのかよ?!」
口々に驚きの言葉をもらす。
「いちゃ悪いか。…ほら、こっち来て。」
「え?!うわ…?!」
ガチッと手首を捕まれ、私は拐われるように、その人につれていかれるのだった。