君を忘れない。
緊張で少し震えてしまった声で、私は恐る恐る一平さんに尋ねる。
すると一平さんは、益々まじまじと私の顔を見ながら、私の額に触れた。
「?!」
驚いた私は、肩に力を入れ目を固く瞑る。
そのうち手はそっと離れ、私はゆっくりと目を開ける。
「…やっぱり少し熱いか。」
「…え?」
「お前、体調が悪いのではないのか?」
?!
「え…なんで…?」
「自覚があるのだな。」
確かに、少し風邪気味っぽくはあったのだけれども。
布団で寝ているほどではないし、それに。
「分かっていたのなら、外に出るもんじゃない。」
「それは、えっと…」
一層不機嫌そうな顔で私を見る一平さんが怖くて、次の言葉がうまく出てこない。
次の言葉を探して頭がグルグルして、熱が上がりそうになる。
それでもどうにか、声を振り絞った。
「…だって、会いたいじゃないですか。」
嘘で誤魔化すには、頭が働かなさすぎた。
「会いたい?」
「一平さんに、会いたかったから。だから、気づかないフリしたんです…。」
貴方に会えると思うだけで、私の心臓は大きな音を立てて加速する。