君を忘れない。
…迷惑、だったのだろうか。
会えるのを待ち遠しく思っていたのも。
知りたいと思ったのも。
胸を高鳴らせていたのも。
全て、私だけ。
一平さんの優しさに、勘違いしていたのだ。
自分だけが特別だなんて、そんなのは自惚れで。
だだ少し、期待した。
あの日、私を見付けてくれたから。
幼稚な私を、笑わないでいてくれたから。
綺麗だと、言ってくれたから。
こうして再び、会えたから。
私は頬の涙を指で拭う。
空には、夕陽で紅く染まった雲が大きく広がり、ゆっくりと流れていた。
貴方が桜色だと言った私の頬さえも、今だけは紅く染められる。
まるで空が、燃えていようだった。