君を忘れない。



「これ以上、一平さんにご迷惑をお掛けする訳にはいきません。今まで私は、甘えすぎていました。」



一平さんの優しさに。



だけどそれも、もう終わりにしよう。



「俺が好きでやっていたことだ。迷惑などと思ったことは、一度もない。」



もう、優しくしないでください。



期待してしまう私がいる。



甘えてしまう私がいる。



「いいんです、もう。」

「いいってなにが…」

「もうやめて下さい…!」



初めて、一平さんの目を見た。



漆黒の闇に、私が映る。



私の目からは、こらえてた涙がこぼれ落ちた。



「忘れてくれと…そう言ったじゃないですか。だから私は、必死で…っ」



必死で、想いを絶ち切ろうとした。



だけどそれは、すでに簡単なことじゃない。



忘れようと思えば思うほど、好きだと思い知らされた。



人を想うということが、こんなにもの辛く苦しいものかと、初めて知った。



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