君を忘れない。
ひらひらと舞う花弁は、とても綺麗なのに。
その儚さが、今はとても悲しい。
「志願…?」
「みんな征った。だから次は俺の番だ。」
「それは違います…!」
「………。」
「一平さんは、軍医になるべきです!軍医になって、沢山の傷付いた命を救うべきです…っ。」
今、目の前の愛しい人が、居なくなろうとしている。
一年前の、兄のように。
涙が溢れた。
「命を救うことが出来るのに、傷付ける方になってしまうなんて…そんなの、おかしいっ!」
たとえそれが、敵だと言われた相手でも。
たとえやらなければ、やられるのだとしても。
傷付けて、傷つけられて、生まれるのは憎しみだけ。
そんなこと、一平さんだって分かってるはずなのに。
「…すまない。」
一平さんの口から出た言葉は、その一言だけ。
「…もう、決めたのですね。」