君を忘れない。
私がいくら願っても、すがっても。
「人を殺そうとしているその手で、私に触らないで下さい…!」
嘘を…つきました。
最愛の貴方に、最後に嘘をつきました。
本当は、もっと触れていたい。
触れていてほしい。
そう、心が叫んでいるのに。
「一平さん、さよならです。」
振り返らずに、一平さんの手を振り払った。
心が痛くて、涙が止まらなかった。
ここで貴方と出会い。
ここで貴方に、さよならを告げた。
ずっと見ていたのは、一年前と変わらず美しい桜だけ。
私たち、出会ったのは間違いだったでしょうか。
「喜代、ちょっといい?」
家に帰った私は、部屋に閉じこもって泣いていた。
そんな私を見て、お母さんが部屋の戸を叩いた。