君を忘れない。
まさかと思う反面、期待している自分がいた。
「一平さん…?!」
そう言って、居間に座っている人物を見た瞬間、私は動けなくなった。
「一平さん…?」
居間のちゃぶ台の前に正座している男性の横顔を見た瞬間、懐かしさから胸がとても熱くなるのを感じた。
「あ…突然の訪問、失礼お許しください。」
その人は私へ目をやり、頭を下げた。
ああ。
違う。
この人は一平さんじゃない。
正面から落ち着いてちゃんと見ると、別人だというのは一目瞭然。
「貴女が喜代さん、ですね。」
私のことを、知ってるの?
「…あの、あなたは?」
「申し遅れました。私、雨竜鉄平と申します。」
雨竜…?
それってまさか。