君を忘れない。
そうして亡くなっていった多くの命があっての、今の日本だということを忘れてはならないのです。
彼らがそうまでして、残してくれた平和なのです。
戦争中は、軍神と崇められた特攻隊でしたが、生き残りは特攻崩れと蔑まれ、死んだ者は犬死にとさえ呼ばれました。
上からの命令で散っていった若き命を、犬死に呼ばわりするのはあんまりですよね。
特攻隊員たちは、ただただ信じていただけだとパピヨンは思います。
国の平和や、大切な人の幸せな未来を。
現代人には考えられないような現実が、七十年前に確かにあったのです。
たとえば、平和な世の中で。
たとえば、戦争のない時代で。
たとえば、なに不自由なく自由に暮らせて。
たとえば、将来の夢があって。
たとえば、白髪になって腰が曲がるまで、生きることが出来るのなら。
それだけで、十分なのです。
笑えるだけで、幸せなのです。
このお話を読んだ皆様の心に、なにか少しでも響くものがあれば、幸いです。
喜代と一平も、そう願っていることでしょう。
まだまだ未熟な作品に、お付き合い本当に本当に、ありがとうございました。
平成二四年六月十六日。
パピヨン。