唯
「おい、圭(けい)。嫌がってんだろーが。」
「うるせえな。そんないい人ぶるなよ。奏太(かなた)」
「奏太〜。うまい棒買っていい〜?」
「陸(りく)、いいけどちょっと待って。圭が女の子いじめてるから」
「圭?女の子いじめちゃダメだよ?」
「はぁ!?いじめてねぇし!友達を増やしてるだけだろ!!」
「何が友達だよ、変態が」
「オレは変態じゃねぇ!!」
「…てかさ、女の子困ってるよ?」
「「あ。」」
あたしの存在を忘れてたらしい2人が
声をハモらせた。
そして間に入ってきてくれた男の子が
優しい口調であたしに話しかける。
「ごめんね?圭さ、バカだけど悪いやつじゃないからさ」
「いえ、気にしてないんで…」
「本当にごめんね〜」
「いや、大丈夫です。あの…さようなら」
あたしは返事を待たずに
クルッと背を向けて
お菓子をかごに入れた後、
レジの方向に歩き出した。